「あのなぁ、こいつの水着なんて毎年毎年見てんの。柄なんか覚えてねえ…」
そう返して、まっすぐ前をみると、
よく見知った団体が遥と話してる。
「桃奈さん!」
「ちょ、玲司まだ話の途中!」
長い丈のワンピースを着て、
麦わら帽子をかぶってる大好きな人のとこに走って近づく。
…茉由つきで。
「海の近くって桃奈さんもこの辺だったの?」
声をかけると桃奈さんの視線は俺と合わない。
桃奈さんの視線を追うと、
俺の腕に絡んだ茉由の手。
…勘違いさせたかも。
そう思って、
「離せ、茉由。」
「桃奈さんも海に遊びにきたんですかー?」
俺を無視して離そうともせず、
さらに腕に力を入れる茉由。
ったく、何考えてんだ。
「うん!みんなで合宿の終わりに!」
桃奈さんはニコッと笑って答える。
「れいちゃんも茉由ちゃんもお疲れ様!」
「桃奈さん俺ら自由時間だから少しでもいいから一緒に海楽しみたい。」
そう伝えるけど、
桃奈さんは乗り気じゃないのか、
「あーうん。」
と曖昧な返事。
「桃奈さん一緒にビーチバレーしましょうよ!」
横山が援護してくれるけど、
「楽しそう!でも、合宿お疲れ様会なんでしょ?みんなで楽しんで!じゃあ私たちも着替えにいくから!」
と姉貴の背中を押して更衣室のほうに向かってしまう。
姉貴と目があったら、
哀れみの目で見られた。