「桃奈さん?どうしたの?」

回り込んで見たれいちゃんの表情はいつもと同じ。

あれ、落ち込んだりとか…

緊張したりとか…

あれ、あれ?

「れいちゃん何してたの?」

「えっと、今日暑すぎて持ってきたドリンク全滅したから新しいのを買いに…」

「え、それだけ?」

「そう…ですけど…桃奈さんは?」

はるちゃん…嵌めたなぁ!

「はるちゃんが玲司をお願いって言うから…怪我か何かしたのかと…」

「いや、特には…」

「はあぁぁ、何もないならよかった!」

はるちゃんにはめられたのは悔しいけど!

何もないのが1番だし!

「はい、これ差し入れ!渡しに行ったられいちゃんいないからさ!」

「ありがとうございます。…心配してくれたの?」

まだ息を整える私に、

あの日のように頬に手が伸びる。

っ!

あの日と違うのは自分の気持ち。

ああ、心臓がうるさい。

「したよ、…そりゃ。」

私の言葉にれいちゃんは目を大きく開いて、

「え、」

と固まって、

そのあと嬉しそうに笑う。