とんでもない爆弾を落としたことを気づいてないのか本人は、
「可愛いねー」
と背伸びして俺をヨシヨシしている。
ちょ、
桃奈さん自分がなに言ったかわかってないの?
急にさっきまでの照れはどこへ行ったのやら、
俺に触れる桃奈さんに少し悔しさを覚えて、
俺は桃奈さんの手を引いて自分の腕の中に囲う。
「わっ、どうしたの?」
桃奈さんが至近距離で覗き込んでくるから、
前髪を少し横に流してあらわになったおでこに軽く口付ける。
「れいちゃっ、え!!」
おでこを自分の手で慌てて隠す桃奈さんの手にまた軽く口付けて、
「俺以外にそんな無防備に近づかないでくださいね。…桃奈さん、好き。」
自分でも驚くくらい優しい声が出る。
桃奈さんは腕の中で茹でたこみたいに真っ赤になって、
おでこを守ったまま固まってしまったのを見て、笑って、
「じゃあ桃奈さん早く売り捌いて着替えてくださいね、身体冷えてるから。」
と片方のポケットにカイロを入れて、
もう片方のポケットにもあるものを忍ばせて、
バスケ部の後を追う。
「れ、れいちゃんのバカっ!」
って声が後ろからきこえてくるけど、
バカは無防備に人に触れる桃奈さんだと思う。
あースッキリした!