弟にしないで。


「もも、今その飲んでるタピオカミルクティーはだれの優しさ?」

爽くんは、ケータイをおいて、

タピオカミルクティーを指差さす。

「晴翔…」

「うん、そうだね、じゃあこれは?だれからの優しさ?」

私のケータイの明かりを少しつけて、

ロック画面にうつる、トークの数。

「綾、はるちゃん、洸、海斗、恭介…」

「うん、そうだね。遥くんはももがいつもと違うって感じてて何も気にならない子?」

違う。

はるちゃんはいつも心配しすぎなくらい私を心配してくれる。

ふるふると首を横に振る。

「ね。こんなにも、ももの変化に気づいてくれる人がいるでしょ?」

「爽くんも。」

「確かに、俺もそうだね。」

それから…

ふと頭に浮かんだ人。

「他にもいるんだ?」

少し驚いた顔して、爽くんに聞かれる。

なんでもお見通しだ。

私は今度は縦に首をふる。

「…れいちゃん。綾の弟でね、はるちゃんの親友なの。」