弟にしないで。


「ご飯食べれる?晴翔がももの好物のタピオカミルクティーも頼んでくれたみたいだよ。」

目の前のそれにお腹は空かなかったけど、

晴翔の優しさも感じてちびちびと飲み始める。

「はるちゃんがね、彼女ができたの。」

唐突なのは、いつものことで慣れてるのかケータイを触りながら爽くんが相槌をうってくれる。

「うん、おめでたいね」

「うん、すっごい嬉しくてね!相手もすごいいい子で可愛くて…」

「うん」

「はるちゃんがその決断をしたとき、嬉しかったの」

「うん」

でも…

「中学校からずっと私、はるちゃんを守らないとってことばっかりで一生懸命だったから、なんか、心に隙間ができたというか、」

ポッカリと抜け落ちてしまったような、

自分が大事に抱きしめて守ってきたものが、

改めて手の中をみると、急に空っぽに感じて…

「なんか、いても立ってもいられなくて、爽くんに突撃したの。」

「そっか。ももはバカだね」

爽くんの言葉にキョトンとする。

「私…バカ?」

「うん、バカ。」

優しく笑って頭を撫でられる。