「よし、もも、とりあえずもう一眠りしな。眠いでしょ?」
いいの?と顔色をうかがうと、
よしよしされて寝かしつけられる。
それに逆らうことなく目を閉じる。
あぁ、懐かしい夢を観そう。
お父さんとお母さんと遥と、
すごく裕福なわけでもないけどすごく幸せに暮らしてたあの日々。
幸せだったのに、
一本の電話で崩れ去った。
お母さんとお父さんが交通事故に遭い、
私たちのそばからいなくなった。
うちは駆け落ちの夫婦だったから、
誰も頼れなくて、
必死になった3年前くらい。
お母さんとお父さんが将来お家を建てるために貯めていたお金、保険、残してくれたもの全部でなんとか遥とやってきた。
少し落ち着いてきたとき、
彼氏ができた。
好きだとまっすぐに伝えてくれたから、
誰かに甘えてみたかったから、
付き合った。
それでも遥が1番なのは揺るぎなくて、
彼氏のことなんてあまり考えていなかった。
ある日、ふと立ち寄った1番学校の中で人気が少ない自動販売機。
そこだけにあるミルクティーがほしかったから。
声がして、聞いたことある声に驚いた。
私を好きだと言ってくれたその声で当時の彼氏は他の子に愛を囁いていた。
ショックと言えばショックだったけど、
「お前、弟しかみてねぇじゃん、流石に無理。」
の言葉に妙に納得した。
私が男でもこんな事情もちの彼女選ばない。

