ふと意識が浮上する。

何か糸が切れたのか寝てしまっていたらしい。

目を開けると、

ベットサイドに爽くんが座ってパソコンを打ち込んでいる。

レポートかな。

打ち込んでる右手と反対の左手は、

優しく私の手を包んでくれている。

…あったかい。

その手にすり寄ると、

「もも、起きた?あいつ帰ってくるけど、今日は言ってるの?」

ふるふると首を横に振ると、

「怒られても俺は知らないよ。」

と優しい口調で返される。

「爽くん、今何時?」

「七時前。」

あ、帰らなきゃ。

「帰らなきゃ…」

起き上がろうと思うのになかなか身体が動かない。

「もも、遥くんと喧嘩でもした?」

「…した、けどそれはもう解決した。」

「じゃあ強がりなお姉ちゃんがここに逃げてくるのは他の理由かな。」

「…今回は、自分でもわからないの。」

爽くんは、私の頭をわしゃわしゃとして、

そっかと答えて、身体を起こしてくれる。

「爽くん。」

手を伸ばすと、

「本当に…まったく…」

その手を軽く引き寄せて、

温もりをくれる。