私服の服の人が出入りしていって、
私を物珍しそうにみる。
私はおそらくここの入り口であろうところで壁にもたれかかって人を待つ。
みんな私よりも大人びて見える。
大学生ってこんな感じなんだ…
待ち人には今日会いたいなんて言ってないし、会いにきたとも言ってない。
大学生は時間割が高校と違うから今日この時間まで大学にいるのかもわからない。
…いつまでここで来るかどうかわからない人を待つつもりなのか自分でもわからなかった。
そして、なんで今になってその人に会いにきてるかも自分でわからなかった。
お洒落な人だったり、賢そうな人だったり、たくさんの人が前を通っていく中で、
一際みんなの目を引く落ち着いた雰囲気の目的の人を見つけた。
見つけたと同時に身体が勝手に走れと動き始めた。
何人か知らない人と話しながら大学から出てきた彼に思い切り突進して抱きついた。
「うお!?」
「ちょ、爽斗(そうと)大丈夫!?」
周りがざわざわするけど関係ない。
ああ、懐かしい温もりだ。
泣きそうになる。
「え?女の子?制服だし…高校生?」
「何、爽斗のファン?」
周りの声に少し現実に戻される。
離れた方がいい…よね?
離れようとしたら、
彼が、私が彼のお腹に回した手をとって、
大きな細い手で私の手をにぎにぎと色々さわる。
「もしかして、もも?」
背中にへばりついてて顔なんて見えないはずなのに、当てられてしまった私は泣きそうになる。
「うん、…」
ただ頷くことしかできない、
だって、何しにきたのか私もわからない。