ハルの贈り物



そう言った春輝さんは、私の目をしっかりと見て、小さく息を整えたあとに…こう聞いてきた。


「なんで陸上はじめたんだよ?」


「私…?私は……。」



私が陸上をはじめた理由…。


そういえば考えたことなかったな。



「なんでだろ…。」



「ははは!うそだろ、マネージャー。俺に聞いてきたくせに〜。」

確かにそうだけれど…。


「なんか、そういえば、あんまり考えたことなかったなって思って。気づいた時には、友達といつも走り回ってたし、それが当たり前だったから…。」


私はなんで陸上をやろうと思ったんだっけ?


考えたことなんてなかった。


すぐ近くにいつも陸上があって。


それが当たり前で。


それがなんでかなんて疑問に思ったことなんて一度もなかった。