私、桜木明輝(さくらぎあき)は、
1週間遅れて、今日から高校1年生になる。

入学式の前日に、喘息の発作が出てしまって、出遅れた。


まぁ、もう慣れたようなものだけれど、やっぱり気分は憂鬱。


教室では、もう新しいグループができている。


下の名前を呼び捨てに呼び合うことに慣れていない、そんな初々しさが羨ましく感じた。


「桜木明輝って言ってたよね?」


「へ…?」


あまりにも突然に声をかけられ、変な声が出てしまう。


でも、その顔を見た瞬間、私は固まってしまった。


見覚えのある顔。


今でも鮮明に覚えている。


あの時…。
そうあの時の…。


「やっぱり!明輝ちゃんか!びっくりした!もう2年半ぶり?覚えてる?」


「…風夏(ふうな)ちゃん、だよね?」