「明輝ちゃん、よろしくね。」

風夏ちゃんのさっきとは少し違う、やわらかな微笑みに、気持ちが和らいだ。

言葉にはしていないけど、きっと何か思っての行動だったんだと。
ほんの少し思うことができたのも、心に少しだけ余裕ができたからかもしれない。
少し軽くなった心に、一つの細い糸のような光線がさす。

風夏ちゃんの行動のおかげでもあるんだと気付いたから。

「ありがとう。」

自然と言葉にできた。

純粋に言葉にできたのは…
本当に久しぶりだった。


「そっちの方がいいよ。」


「え…?」


「そっちの方がお前っぽい!前だけ見てればいいんじゃね?」


そのとき、彼の言ったその言葉に込められた意味は理解できなかったけれど、自然と笑顔になれた気がした。

いつぶりかに感じたその温かさに…
触れていたいと思った。