[持田side]
「うーん…」
どうしようかな…
医局の自分のデスクのパソコンを見て
考えていると
「先生どうしたんですか?」
新島君が首を傾げて聞いてきた。
「ちょっとね、海都君の事なんだけど」
「西崎がどうかしたんですか?」
「お父さんとあまり仲が…というより院長とは……ね?複雑なんだよ」
「あれ?院長って西崎のお父さんなんですか!?」
「あれ知らなかった?」
「はい初耳です」
「まぁ海都君達はあんまり家族の話をしたがらないからね。特にお父さんの話。中学の終わりから、大学までおじいちゃんの家で暮らしていたしね」
「おじいちゃん?母親じゃないんですか?」
「まず海都君達の両親はあの頃別居中だったんだよ」
「あの頃?」
「別居したのは海都君が中学3年の時で。その時はまだ夫婦2人ともお互いの事好きだったんだと思うんだけど……ある日、海都君とお母さんの2人で出かけたんだけど、その時、海都君と車の事故に巻き込まれて、お母さんだけ亡くなって。その後は、そのままおじいちゃん達に育てられたと」
「よく知ってますね」
「まぁ海都君が高校生からの主治医だからね。それに結構ニュースにもなってたから。あの頃の海都君は酷かったよ」
「グレてたんですか?」
「うーん…治療拒否が激しくて。病院からは脱走するわ、点滴無理やり引き抜くわ、毎回意識を失って倒れて運ばれるまで病院には来ないとか。3階の病室から飛び降りて脱走とかしてたからね」
あの時は抑制ベルトをつけていても
ずっと逃げようとしていて、本当大変だった。
発作中も暴れるし……
「わぉ…想像つかないですね」
「そう思うとだいぶ落ち着いて大人になったと思わない?」
