外れていたシャツのボタンを直していると
「お前喘息持ちか?」
ドキッ
「…いや」
突然の質問に、呼吸器科の先生にすぐバレるような嘘をついた。
「持田(もちだ)先生にチクるぞ」
「嘘です、喘息持ちです。だから言わないで下さい。てか先生知っているんじゃないですか」
「持田先生とは同じ科だしな。ここに来る時も持田先生に言われたし」
「僕は大丈夫なので、そろそろ戻ります」
「せめて点滴打ってからいけ」
「点滴しながら診察しろって言うんですか?」
「まだ外来まで時間あるし、そんなんで行ったら心配されるぞ」
「分かりました。なら点滴自分で打てるので置いておいてください」
「いや俺が打ってから」
ピリリリリ
ピリリリリ
「はい新島、はい……分かったすぐ行く」
ピッ
「呼び出されたから戻る。ちゃんと点滴するんだぞ」
「はい」
バタン
新島先生が、仮眠室からいなくなると点滴のセットを
そのまま元の場所に片付け
マスクをつけて診察室に戻った。
