「どうしたの?突然笑って」
「すみません。さっきの事思い出して」
「何かあった?」
「さっきの患者さんが聴診が苦手な子で、その時昔の事思い出して。昔は僕も聴診が嫌いで。その時父さんに自分の音聞いてみなって言われて、聴診器を貸してもらったことがあったことをさっき思い出して」
「へぇー。僕の目には今も聴診嫌いに見えるけど、いい話だね。それでその子はちゃんと聴診出来たの?」
「はい。僕にも聞かせてって言ったら聴診させてくれました」
「なら僕も今度からやってみようかな」
ジーッと見られて
「僕は嫌ですよ」
自分のことだとすぐに察した。
