皆の話は聞こえるけど、すぐに聞こえなくなる。


これで何回目だろう。



また誰かの声が聞こえてきた。




「海都、俺久しぶりに茶碗蒸し作ったんだよ。昔みたいにしょっぱくないやつ作ったんだ。いい加減目覚まして食べてくれよ」



これは郁人の声。


聞こえてくる声は、どこか疲れた様な感じの声。


双子だからか、誰よりもお互いのことは分かる。




「海都……もうそろそろ起きてもいいんじゃない?父さんもやつれているし、お前の事が皆大切で、心配なんだよ」