「余命あと6年です。」

そう、医者に言われたのが1ヶ月前の事だっ

た。私は絶望のあまり言葉が出なかった。母

は、口を抑えて泣いて、父は、暗い顔をして

いた。まだ13歳の私は、本当は死なないよ、

なんて甘く考えていたが、急に様態が悪化し

た時があった。その時は、自分の考えが甘か

ったと悟った。自分は、死ぬんだって思っ

たら、怖かった。まだやりたいこと、叶えた

い夢がいっぱいあった。それが、無理な事な

んだって、一気にわかった。病気がわかった

時から、親の前では泣いたことがない私が、

泣いてしまった。

「死にたくない。まだ、生きたい。」

吐くまで泣いた。涙が、抑えられなかった。

父は、涙を流した。母は、私を抱きしめてく

れた。これが、嬉しな出来事の場面だった

ら、どんなに良かっただろうか。だが、違

う。余命宣告をされた悲しい出来事の場面

だ。その日の夜、父と母は、明日仕事が

あるからと、渋々と帰っていった。いっぱい

泣いたのに、眠くならない。それどころか、

また、涙が零れてしまう。一晩中泣いた。

今日、隣のベットにある男の子が入院してき

た。男の子は

「余命宣告であと2年って言われたけどさ、

治って来てるらしいんだ。俺、自分が治るっ

て信じてたんよ。」

なんて話しかけてきた。

「なんで、私に、そんなこと言うの?」

「それは、君が余命宣告された時の俺に似て

るからだよ。」

なにそれ。意味がわかんない、私が、似てる

の?

「俺さ、余命宣告された時、絶望感に襲われ

たよ。俺、もう死ぬんだなって。そんときの

俺に似てる。」

「でもな、赤の他人の医者が、俺のために、

最善を尽くそうとしてるのに、俺が治るって

思わないで、誰が思うのって思ったんだ。君

は、余命宣告されたの?」

なんで、そんなにポジティブに考えることが

できるのだろか。

「余命宣告、されたよ。あと、6年、しか、

ないんだって」

「6年"も"あるじゃん。6年もあるのに、も

う、人生を諦めるの?6年もあるんだから、

少しは、やりたいこと、できるんじゃない

の?やらないのに諦めるの?」

そんなこと言われても、6年で出来ることな

んて、そんなにないのに、無理だよ。

「6年間、日記を小説ぽく書いてみるとか、

座ってでも出来る、趣味を増やすとか、色々

とあるじゃん。俺もさ、頑張るからさ、やっ

てみたら?」

「日記を小説ぽく書くのは、面白そう。6年

間で、出来る事教えてくれてありがとう。」

「人生、楽しんだもん勝ちだよ!」

自分も余命宣告されてるのに、他人の私ま

で、楽しもうって、言えるなんて、すごい

な。

3日後男の子は治って、退院した。

私も、少しは落ち着いてきて、退院すること

が出来た。



しばらくして、また、体調が悪くなったた

め、入院することになった。

入院して、しばらくたった時に、前のベッド

に、神蛇 屡鬼(かんだ るき)という男の子

が、来た。

「1人にさせろよ」

第一声に、それはないだろって思ったけど、

泣いているところ、見られたくないのかって

思ったから病室を出たけど、どこ行けばいい

か分からず、病院を邪魔にならないように、

探索しようと考えた矢先に、神蛇屡鬼の親ら

しき人が泣いているところに、出くわしてし

まった。

私は泣いてる人を無視出来なかったため、

「大丈夫ですか?どこか痛むんですか?」

聞いてしまった。

「大丈夫です。ただ、息子が、、余命宣告を

受けてしまって、私たちよりも、若くに死ん

でしまうなんて、そんなの悲しすぎるじゃあ

りませんか。」


あの男の子なのかな?うーん…

「すみません。605号室ですか?」

「え?!…はい、そうです。」

やばっ、絶対変に思われたかも、なんか言わ

ないと

「えっと、私も605号室なので、もしかした

らと思っただけなので、すみません」

あの男の子って余命宣告受けたんだ、だから

なのかな少し前まで、自分に似てるなぁ。絶

対生きるのに絶望してそう。まぁ、予想だけ

ど‪w

「あの子は、プロサッカー選手になりたがっ

てたんです。それが今では出来ないとわかっ

て絶望してるのかもしれない………」

なりたい夢を諦めざるを得ないのは、本当に

辛いんでよな

「余命宣告されても、あの子には……残りの

人生を楽しんで欲しくて、でも、、、楽しん

でくれるか」

あーそうか。親ならそう思うんだ。

名前も知らない男の子に言われた

「残りの人生楽しめよ。またな」

「あの……私が話をしてもいいです

か?……いや、その、自分に向けてもありま

すが、残りの人生楽しんでみたくて」

変に思われたかな、それでもいいや

神蛇 瑠輝が人生楽しむなら、それでもいいや