「ねぇ。雪穂。家族っていいね。」
「どうしたの?急に。」
「うん。家に帰ることが 楽しみだし。家族がいるから 仕事も 頑張れるんだ。」
熱く 満たし合った後
私を 抱いたまま 博幸は言う。
「私も モモちゃんも パパが帰ってくるの 待ち遠しいし。毎日。」
一緒に暮らしいていた頃から
博幸は 家庭的だったけれど。
最近は 子育てにも 協力してくれるから。
「家族に 必要とされて。俺も 家族が必要で。これが 本当の家族だよね。」
博幸の言葉に 私は 胸がジーンとする。
前の家族は どれほど博幸を 疎外していたのだろう。
前の奥さんとの子供にも 博幸は 愛情が湧かないという。
一緒に過ごした思い出が 何もないから。
「私も。博幸の奥さんになって。モモちゃん産んで。毎日 忙しけど 幸せ。」
「あの時 雪穂が 俺に付いて来てくれて。俺 本当に 嬉しかったんだ。」
「そうだ!あの時 博幸 泣いたんだよ!」
「泣いてないよ~」
「泣いたもん。モモちゃん 産まれた時も 泣いたし。博幸って 案外 泣き虫だね。」
「でも 全部 嬉し泣きだよ。」
「博幸…」



