「今なら まだ間に合うから。別れて 俺と付き合えよ。」

小林君の 意外な言葉に

「小林君 冗談は止めてよ。」

私は 更に驚いて 小林君を見つめる。


「冗談で こんなこと言うか?俺 戸村のこと ずっと好きだったから。お前が 不幸になるの イヤなんだよ。」

「ちょっと待ってよ。私 不幸じゃないよ。大丈夫だから。小林君 落ち着いてよ。」

私が言うと 小林君は 自嘲気味に笑い

「俺が 心配しているのに。何で戸村が 俺を心配するんだよ。」

と言った。


私は 小林君を ただの同期としか 思っていなかった。

たまに 同期で集まっても

他の仲間と 同じ関係だった。

特別な事を 言われたことはないし。


私が 鈍感で 気付かなかっただけ?


「俺 戸村のこと 全部知ってて 告白してるから。全部 受け止めるから。だから 心配しないで。安心して 俺の所に来いよ。」

小林君の告白は 正直 意外過ぎて。

私は 喜びよりも 驚きしか 感じない。


「待って。急に そんな事 言われても。はい、そうですかって 言えないから。」

やっと 私は答える。

「そうだよね。当たり前だ。ゆっくり考えてくれよ。支店長を 返してあげろよ。家族に。」

私は 小林君の言葉に 俯いてしまう。