私が 実家に帰っている間に

博幸は また弁護士と会って

より具体的な話しを していた。


「離婚するとした場合 俺達が 請求される慰謝料を 計算してもらったんだけど。」

そう言って 博幸は 何枚かの紙を広げた。

「こんなに…?」

予想を超えた金額に 驚いて 私は 博幸を見る。

「うん。あと 養育費は 毎月 このくらい 支払うことになるって。」

養育費は 仕方ないとしても。

慰謝料は 奥さんにも 責任があるのに。


「博幸は 奥さんに 慰謝料を請求できないの?」

私が聞くと 博幸は フッと笑った。

「ホントだよね。俺だって ひどいこと されたのにねぇ。」

と言った。


どんなに 奥さんに非があっても 

不倫した博幸が 悪いから。


「俺 こんなに貯金ないから。ローンを組んで 慰謝料を払うと これからの生活 結構 キツくなっちゃうよ。雪穂 ごめんね。」

「ううん。私も 働くから。」

そう答えたけれど。

私に 請求されるであろう金額も

少ないものではない。


「当分 子供は 諦めて 仕事 頑張るか。」

博幸は 苦笑して 私を見た。