一緒に暮らす生活が どんなに幸せでも

私の立場は あくまでも不倫相手。

博幸の離婚が 成立しなければ

そこから先へ 進むことは できない。

結局 私の立場は 不確かなまま。



博幸は 時々 弁護士と 会っていた。

細かなことは 何も言ってくれないけど。

私も 自分からは 聞かない。


離婚の話し合いは 難航している様子だった。


「ねぇ 博幸。 どうして私だったの?」

博幸が 家を出て 一月が過ぎた頃

私は 思い切って 聞いてみた。

「急に どうしたの?」

私達は 一度も そういう話しを したことがない。

いつまで続く関係か わからないから

私からも 聞いたことは なかった。


「ううん。ちょっと 聞いてみたくなったの。」

博幸の肩にもたれて 私は 博幸を見る。

「雪穂 可愛かったから。」

「もう。真面目に答えて。」

私の胸元に 指を這わせる博幸。

私は そっと その手を握る。