それから 博幸は 

頻繁に 離婚を 口にするようになった。

未熟な私は その言葉に 縋ってしまう。


「雪穂と結婚したら マンション買おうな。」

「えー。住宅ローン 大変だよ?」

「大丈夫だよ。俺 もっと 仕事 頑張るから。」

「うん。私も 働けば。大丈夫だね?」

「でも 子供 産まれたら 雪穂は 仕事辞めていいよ。」

「私達の子供?博幸 どっちがいい?」

「雪穂にそっくりの 女の子。俺 すごく甘いパパになるよ。」

「そっか。博幸 男の子しか いないもんね。」


無意識に 私が言うと 荒々しく 唇を塞がれる。


「雪穂 ごめんな。もう少しの 我慢だから。」

「ううん。私こそ ごめん。そういう意味じゃないよ。私 このままでも すごく幸せだから。博幸と一緒にいるだけで。」


狭い部屋の中だけの 未来がない愛。

私達は それを否定するように

性愛に 溺れていく。