「帰るの?」

私を抱いた後 静かに 服を着る博幸。

私は ベッドの中から 声をかける。


「うん。雪穂は そのまま寝てていいよ。」

毛布を 鼻の下まで 引き上げた私を

博幸は 優しい目で 見つめる。


今 私が ” 帰らないで ” って言ったら

博幸は どうするだろう。


少し 困った顔で 私にキスをする。

そして 寂しそうに ” ごめんね ” って言う。


だから私は 何も言えない。


博幸を困らせて 終わってしまうことが 怖いから。


「また 明日ね。」

精一杯 強がって 笑顔で言う私。


博幸は 今着たシャツを脱ぐ。


「帰りたくない。今夜は 雪穂と眠る。」

そう言って ベッドに入ってくる。


でも 私は 知っている。

もう一度 愛されて

結局 博幸は 帰るって。


だから 期待させるのは やめて…