あおの幽霊


暑く湿気を含んだ重い空気の中、僕はアイスをゲットするためにコンビニまでの道を歩く。

しかし、水元さんの望んでいる事は本当に何なのだろう。

僕な理由は、大方僕以外に水元さんの事が見える人がいなかったに違いない。

幽霊見える人なんてなかなかいないだろうし。

…まぁ、ちょっと前まで僕もその内の一人だった訳だが。

分からない…。

無駄に流れてくる汗に、煩いセミ。

思考が、停止しそうだ。

万年文化部の僕にこの暑さはきつい…。

アスファルトからの熱気がすごい道を、ただただアイスを求めて歩く。

「あ、葵だ」
「……え?」

停止寸前の脳みそのせいで、一瞬反応が遅れてしまった。

声のした方を向くと、長身の男子が立っていた。

必死に茹ってしまいそうな脳を働かせる。

「…………新田?」