私が1度裏切った人だ。手放した命だ。
けれどもしもう1度、救うチャンスが与えられるなら。
考えない夜はなかった。毎夜枕を濡らした。
そしてそのチャンスが、今与えられようとしている。
故人を他者に重ねることは、死者への冒涜だろうか。いいや、それでも。
どうしたって重なるあの不安げな瞳、少し猫背気味の体躯。
彼女に茜を重ねることが不謹慎だというのなら、私は「命は大切だ」なんて使い古された道徳でもって彼女を救いたい。
――だけど、そのとき。
けれどもしもう1度、救うチャンスが与えられるなら。
考えない夜はなかった。毎夜枕を濡らした。
そしてそのチャンスが、今与えられようとしている。
故人を他者に重ねることは、死者への冒涜だろうか。いいや、それでも。
どうしたって重なるあの不安げな瞳、少し猫背気味の体躯。
彼女に茜を重ねることが不謹慎だというのなら、私は「命は大切だ」なんて使い古された道徳でもって彼女を救いたい。
――だけど、そのとき。



