アイドル絶対殺戮戦線

小さな頃は「天使の歌声」と呼ばれたこともあった。


お腹から出る伸びやかな優しい歌声は癒しの効果があるんじゃないかって、毎日のレッスンに疲れた茜に歌ってくれとせがまれたこともあった。


彼女はもう二度と私の歌を聴いてはくれないだろうけれど……それでも私は歌う。


明るい中に悲しみを帯びた旋律は私の心に染み入って、歌い終えたとき私は少し涙ぐんでいるくらいだった。


満足だ。これだけ感情を込めて歌ったのだから、私の歌に心を動かされLOVEを送ってくれる人も少なくはないだろう。


気づけばタイマーが1分間が終了したことを示していた。深々と頭を下げ、私は壇上を降りる。


茜はもう席についていた。


固い表情でじっと前を向いたままで、2度と目を合わせてくれることはなかったけれど。


 ✳︎♡✳︎