アイドル絶対殺戮戦線

バン!!!!!


勢いよく扉を開けた私の頬を撫でたのは、柔らかな3月の風だった。


けれどその優しい感触とは裏腹に、目に映る光景はこれまでにないくらい絶望的だ。


「早まらないで……」


そう呟いた声が、聞こえているかすら怪しい。


期待のこもった目を隠そうともしない群衆の中心で、金色のストレートが宙に飛んでいる。


だけどギリギリ、そのストレートの持ち主の足はまだ屋上についていた。


と言っても、屋上の端の端、高いフェンスすら飛び越えたその先に小田さんは立っているのだけれど。


大丈夫。まだ助かる。助けてみせる。


1歩。群衆をかき分け進んでいく。