アイドル絶対殺戮戦線

「こちらこそごめん。そんなに大切なものだとは思わなかったから、勝手に移動させちゃって。本棚の下に落ちていたと思ったから上にあげておいたんだけど」


「そ。わざわざサンキュ」


そう言いながら小田さんは、緑色のよくある大学ノートを大事そうに抱え込んだ。


聞いちゃダメかな? ダメだよね。


他人の隠し事を詮索する趣味はない。さっきそう言ったばかりだ。


「じゃあ、本当にもう行くね」


「うん。手伝ってくれてありがと。あんた、噂より悪いやつじゃなさそうだし」


「あ、あはは……」


私がそんな悪いやつだと誤解されるような噂って、何なんだ。


少し気になったものの、聞くだけ損だと切り替える。小田さんに悪気は一切ないようだし。


「じゃあ、また第4幕で」


図書室を出る間際振り返ると、小田さんは言葉を発さずにニコニコと笑っていた。


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