「全員ドレスを選び終えたようですね。それではみなさん、目を開けてください」


閉ざされた視界の分、感覚が研ぎ澄まされて心臓の音がバクバクと鼓膜の奥で響く。


……どうか、どうか誰も立っていないで!


おそるおそる目を開けた私の視界に飛び込んできたのは。


「里野……さん……」


最悪だった。最凶だった。


色素の薄い髪をあざとく耳にかけた天使が、絶望を引っさげてこちらに微笑んでいた。


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