私が、人の死を理解するのは早かったかもしれない。
大好きだった、姉が死んだ。
三歳の時だ。
がんだった。
姉は、私にとってははとこだったが、
よく遊びに来てくれていて、ほぼ実の姉と変わらなかった。
姉は、すごくボーイッシュの人だった。
いつも笑顔だった。
以外とかわいいものが好きだった。
そんな姉が死んだ。
私は、葬式に行かせてもらえなかった。
まだ、子供だったからだ。
私は、泣いた。
目が腫れるまで、声がかれるまで、ずっと泣いた。
もう会えない。
その事実だけで、私には十分だった。

今はもう、思い出せない。
あの笑顔も。
あの声も。
あの思い出も。
ただ、いつも顔だったなとか、優しかったなとか、
たくさん遊んだなってぐらいしか覚えていない。
なんともあいまいだ。
たまに、夢に見る。
きっと、小さいころの記憶だ。
そこでも、姉は笑っていた。
顔は見えなくて、声も聞こえなくて。
それでも、笑っていた。
姉は、笑っていた。