医者嫌いの彼女

「あの人、常田先生の奥さんな。
常田先生…覚えてる?」

頷く亜妃。

まだガチガチだな…看護師居なくなったんだから
もう少し力抜いていいと思うんだけど…

とりあえず聴診をすると、異様に早い心拍。

「フフ…今日緊張してる?」

亜妃「……。」

目を合わせず、下を見たままの亜妃。
そのまま聴診をする。

こないだよりは全然いいな。

「…うん、だいぶマシになってる。
あれから発作は起きてない?
薬はちゃんと飲んでる?」

「…はい。」

その返事の後、何か言いたげな様子。

ちらちらとこっちを見てくる。
こっちから聞いても良いが、待ってみる。

「あの、瀧さん…」

…瀧さんじゃねぇーよ。

「…先生。」

亜妃「えっ?」

「病院ではそう言えっつったろ?」

まぁ、名前で呼べば許してやるが…
まだ厳しいだろうしな。

亜妃「……」

「看護師たちに変に思われたくないだろ?」

これも本音。それより、

「…で、何?」

亜妃「えっ⁉︎」

「いや…。用件は?」

亜妃「あ。あの…薬。まだ飲まなきゃだめですか?」

少し良いと言った途端、コレだ。
亜妃に限った事ではないが、油断が1番危ない。

「当たり前。喘息はそう簡単には治らないの。
また辛い思いしたくないだろ?油断は禁物。いいね?」

亜妃「…はい。」

わかりやすく落ち込む。
少し厳しめに言うが、大切なことだ。