薬をセットして、亜妃を座らせる。

「ここに座って。こっから霧みたいなのが
でるからゆっくり吸ってて。
これがなくなったら終わりだから…はい。」

悪いと思っているのか…
言葉は発さないが大人しく言われたままに
なる亜妃。
吸入している所を見ると、
ちゃんと吸っているようだし、
顔色が悪くなったりもしてないな…。

しばらく状態が変わらないか観察するが、
問題無さそうなので後ろで仕事をする。

これからどうするか考えていると、
ネブライザーの音がなり、終わりを告げる。

「変わりないか?」

亜妃「…はい。」

「…ならいい。帰る準備しろ」

亜妃にはとりあえず帰る準備をさせ、
常田先生に報告の電話をいれる。

「…あ、瀧です。お疲れさまです。
例の患者、診察終わりました。で、今から
休憩もらって、ちょっと外出てきます。
午後の回診遅れるかも知れません」

常田[大丈夫なのか?入院させなくて。
責任持つと言ったからにはちゃんと判断しろよ?」

「…はい。」

常田「とりあえず、回診は了解」

「お願いします。」

電話を切って亜妃を連れてロビーにでて
椅子に座らせる。

「ここで待ってろ。」

亜妃を待たせて、診察カードをもって精算に行き、
ついでに白衣をロッカーに直す。

ロビーに迎えに行き、無言のまま手を引いて
病院を出る。
玄関前に停まっているタクシーに乗り、
自宅に向かう。
とは言っても、家はほとんど病院の目の前と
言ってもいい距離。

乗っていた時間もほんの2〜3分だ。