数日前、大学時代の同期である山下京介から
連絡が来た。

京介 "金曜の夜、空けといて。飲み行こう"

"了解"

最近はお互い仕事が忙しく会っていなかったし、
たまには付き合ってやるかと思い、了承する。

京介 "慶太と正隆も誘ったから一緒に来て"

"わかった"

慶太、正隆は大学の系列である、同じ病院で
働いているが、科が違うため会う事も少ない。
特に深くは考えず、久しぶりに飲みに行くのも
悪くないと思ったんだが。
今となりよく考えれば、この時にもう少し
疑うべきだった。

昔からコイツの誘いはロクな事がないんだから。








今居るのは、なぜか駅前のイタリアンバルの前。
いや、オシャレとは思うが男同士で飲むのに、
1軒目からここは無いだろ…

「なんでここ?普通に居酒屋でよくね?」

一緒にきた正隆に聞くと、こいつは
知っていたらしく、言いにくそうに言う。

正隆「和弥…実はさ、今日合コンらしい」

なるほど…はめられたってわけか。

「…帰る」
そう言って帰ろうとするのを引き止めてくる。

こっちはただでさえ仕事で疲れてんのに、
余計疲れなきゃいけねぇんだよ。

心の中で呟くが、こいつに言った所で仕方ない。

正隆「まぁまぁ、付き合ってやろうよ。
何か、大学院の後輩の頼みらしいんだよ」

慶太「俺もさっき知った。」

…あいつ。後で覚えとけよ。
そう思いながら京介を待つ。

そう、京介は医者の免許を持っていて、
働いてもいるが、後々は病院経営者になるため
大学院にも通っている。
そのせいもあって若干チャラついてんのがまた、
俺をイラつかせていた。

悪いやつじゃないし、腕も買ってるつもりだが、
このやり方は理解しかねる。

京介「お待たせー!…あ、和弥。
…その顔は知っちゃった?」

和弥「ふざけんな。嫌いなの知ってんだろ」

京介「悪かったって。
他に呼べそうなやつが居なかったんだよ…」

言葉では謝っているが態度は悪びれる様子なく、
あっけらかんと言う京介にさらに苛立ちを覚える。
それに気づいた正隆が小声で耳打ちしてくる。

正隆「大丈夫。今回もフリーターって事で
いけばいいだろ?あれ、結構効果あるし」

「……」

そういう問題じゃないんだが…

京介「ま、とりあえず入ろうぜ」

そう言われて店に入る。