今回は完全にプライベートな話のため、
仕事終わりに時間を作ってもらった。

亜妃はもう他人だからそんな事しなくていいと
言ったが、俺なりのケジメもあるし、
言いたいこともあった。

「先日は、大変失礼なマネをして申し訳
ありませんでした。今日は亜妃との事で
きちんと話をさせて頂きたく、伺いました。
亜妃と結婚しようと思います。」

春川「なんだと?」

「亜妃はあなたの事を恐れています。
亜妃が春川の性を名乗っている以上、
彼女の心はあなたに支配され続けると…
そしておそらく、あなたも同じなのでは?
ですから、今後一切あなたと亜妃を
会わせるつもりはありません。亜妃と
あなたが親子である事も一切口にしないと
誓います。
だから、彼女を解放してあげてください。」

そう言うと、しばらく渋った様子だったが
受け入れたらしい。

一言、「あの子を頼む。」とだけ言われた。

最後に亜妃宛の手紙を預かる。
亜妃に酷いことを言うような内容なら
渡せないと言うと、そうではないらしい。
父親として、最初で最後の手紙だというので、
手紙を預かり、亜妃に渡す。

亜妃は亜妃で、読みたくないと言うが、
無理矢理渡して、読ませる。

これで本当に最後。
他人として生きていけるように。

手紙を読み終えた亜妃はなんとも言えない
表情をしていた。

「これで本当に他人だから。もう苦しまなくて良い」

そう言うと、少しだけ微笑み、
肩の力が抜けたように感じる。