それから亜妃はしばらく入院して無事退院。
MRIなど脳の検査もしたが特に異常は見られず一安心。

喘息の方も最初は呼吸状態も芳しくなかったが、
徐々に回復。ご飯は相変わらず食べないが
状態が落ち着いたのを見て退院させる。


入院中は京介がお見舞いに来ていた。
状況を知っているだけにほっておけなかったんだろう。
顔色の良い亜妃を見て、安心したと言って
帰っていった。

他にも慶太や正隆も入院したことを聞いたらしく、
仕事終わりに来てくれた、と楽しそうに話していた。

こうやって、少しずつでも病院や医者に対する
恐怖心がなくなっていけばいいと思う。

2人で家に帰り、ソファに座る。

なんか…久しぶりだな。

時間にするとほんの数週間のはずが、
もう長い事離れていたように感じる。

亜妃が居ない家は冷めきっていて、
自分の家なのに、自分の家じゃないような。
落ち着かない…そんな感じだった。

俺にはこいつが必要だってことか…。

ふと隣を見ると、亜妃は亜妃で感傷に
浸っている様子。

しばらく見ていたが、突然視線がこちらに
向きかけるから慌てて目を逸らす。

もう一度亜妃をみると幸せそうに笑っていた。

この笑顔を絶やしたくない。
そう思い、もう一度亜妃の父親に会いに
行く事にした。