それでも言い足りない。

こいつは未だに自分が医者の彼女だという
自覚がなさすぎる。
医者(俺)を振りまわしすぎなんだよ。

「それに雨が降るって言ってんのに、
公園に寝てたらしいじゃん。今どきドラマでも
もう少しまともなとこに行くだろ。
あんなとこに居たらこうなる事くらいわかるよな?
一応ね…仮にもあなた医者の彼女なんですよ?
その自覚あんのか?
もう少し自分の体調管理くらいしろよ」

そういうと、不思議そうな顔をして一点を見つめる。

表情はどことなくほころんで見えるが…

「聞いてんのか」と頭を小突くと、
フフッと笑い顔が真っ赤になる。

目が合い、しばらくの沈黙。

亜妃「だいすき。」

亜妃からの思わぬ告白。

そう言えば初めて聞いたかもしれない。
いつもどことなく遠慮がちで、主張することも
ほとんどない。

今まで出逢った女とは全く違うこいつに惹かれた。
初めて会った時から何故かほっとけなかったのは
恐らく病気のせいだけじゃない。
俺がこいつを好きだったんだ…。

「…俺も。」

好きだ、と言うかわりに強く抱きしめる。

…こいつを離さない。その気持ちも込めて。