医者嫌いの彼女

「待てって。お前、自分で熱あるの分かってる⁇
悪いけど、このまま帰せないから。」

こんなに全身熱いのに、よくもそんな元気があるな…
てかすでにフラフラしてるじゃねーか。

こんな身体でよく大丈夫などと言えたもんだな。
ある意味感動しながらも椅子に座らせ直し、
体温計を渡すが、椅子に座ったまま動かない。

反応はないが拒否したりの抵抗もなくなった。
まあ…少しは落ち着いたか。

「…世話のやける」

亜妃の横に立ち、ブラウスの間から体温計を入れ、
横から肩を抱くようにホールドする。

…逃げられても困るからな。

Pipipi

体温計がなり抜き取ると、39.3℃。

興奮して熱が上がったと考えても相当な熱がある。

…俺だったら一歩も動けないんだけど。

「よくもまぁ。とりあえず熱を下げない
ことにはなぁ。…座ってるのキツくないか?
ベッド使うか⁇」

無言のまま首を振る亜妃。

どうしたものか、と考えながらも
とりあえず血圧と脈拍を測る。
脈も早いし、皮膚からみても脱水気味か…

「ちょっと脱水も出てるし、採血して、
水分入れるためにも点滴したほうがいいな。」

ほとんど独り言のつもりで口にしながら、
病棟ナースに電話を入れる。

「瀧です。急で悪いんだけど、今すぐ採血セットと
アセリオを診察室⑧にお願いできます?」