その瞬間、余計に緊張の表情を見せる。
俺にというよりは多分、看護師に対してだろう。

早く終わらせてやりたい。

「薬は毎日飲んでる?発作は起きてないか?」

頷いたのを見て聴診をやめる。
呼吸音も悪くないし、前回、前々回の
カルテをみても大きく変わりなさそう。

「うん。落ち着いてるし、次は3週間後でいいかな。
でも、無理はしない事。何か変だと思ったり、
発作が起きた時は3週間を待たずに受診して。」

亜妃「…はい。」

久しぶりに会ったのに、こんな顔をさせるのもな…。
そう思い、看護師に「トイレに行く」と言って
診察室を出て行った亜妃を追いかける。
声をかけると、気づいたのか直ぐに振り返る。

「…今日もバイトか?」

亜妃「あ、…はい。」

少し申し訳なさそうにいう亜妃。
分かってはいたが、こっちもそろそろ
会えないのは辛い。

「…そうか、気を付けろよ。
…薬、ちゃんと貰って帰れな?」

そう思っても口から出るのは医者としての
言葉しか言えない。

亜妃「…はい。」

少し間があったが、亜妃は帰って行った。