翌日には亜妃のすっかり熱も下がり、家に帰した。
やっぱり疲れだった様子。

それからしばらくは会えない日が続いていた。

亜妃の受診日も学会で留守だったり、
急患対応してたり。たまに仕事が早く終わっても
亜妃がバイトだったり…。

告白した日からかれこれ1ヵ月、まともに
会えていなかった。

まぁ、診察日には連絡して変わりがない事を
確認していたからそれだけは安心している。

今日は亜妃の診察日。
久しぶりに会えるんだが、タイミング悪く
看護師がまた田中。
あいつが怖がるから出てってもらえると
助かるんだが…下手なことを言って勘繰られるのも
困るし、気を遣って出て行く、なんて事も
あるわけがない。

大人しく診察するしかないらしい。

〈春川さん、診察室8番へどうぞ〉

トントン
亜妃「失礼します…」

控えめなノックと共に入ってくる亜妃。
相変わらず、表情は硬いが、1人で診察室に
入って来れるようにはなったらしい。
一瞬看護師に目をやり、あからさまに顔が引きつる。

「久しぶりだけど、調子はどう?」

亜妃「…変わらないです」

「…うん。じゃ診察してくな。」

そう言って診察を始める。