嘘つきな僕ら【完】





夏樹を待たずに、正門を出た。



いつも通りの帰り道。

夏樹のいない帰り道。



5時を知らせるチャイムが夕日でオレンジに染められた街中に響き渡る。いつも隣に夏樹がいた。ついてくんなって言ってもどうせ帰る道一緒なんだしってついてきて、それが小学生、中学生、気づいたら高校もあたしと同じところに推薦入学してきた。





日高さんにラブレター渡された時からずっと今まで感じたことのない感情があたしの中に。いつかはこうなることわかってたはずなのに。






「あら。結香ちゃん」


「おばさん…」




気づいたらあたしは夏樹の家の前に立ってた。



ちょうど花に水をやってた夏樹のお母さんがいて、あたしの顔を見るなり優しく微笑む。


「上がってもいい?」


そんな聞くことないでしょ、と笑うおばさん。



「家族のようなもんなんだから。勝手に上がりなさい」


「うん。」




リビングに行かずに、階段を登って夏樹の部屋へ足が向かう。



白と黒で基調された部屋。女のあたしの部屋より綺麗でどこかむかつく。



鞄を置いて、ベッドに潜り込む。