『隼翔、ちょっと入ってもいい?』
ドア越しから楓姉ちゃんの声。
「いいよ」
楓姉ちゃんの呼びかけに隼翔が返事をする。
それを聞いた楓姉ちゃんがドアを開けた。
「あら、葵も一緒にいたのね」
「うん」
平常心、平常心。
心の中で何度も呟く。
「どうしたんだよ、姉ちゃん。
友達と会ってたんじゃなかったのかよ」
「うん、会ってるよ。
今、家に連れてきてる」
えぇっ⁉
「何も聞いてないんだけど……」
隼翔の声のトーン。
少しだけ動揺が混じっている。
「メッセージ送ったよ、
隼翔と葵に」
楓姉ちゃんの言葉に驚きながらスマートフォンを見た。



