私が尋ねると、雅暉さんが目頭を押さえながら答えてくれた。
その仕草にこっちまで泣きそうになる。
「美舟はもう一度俺と一緒に生きる覚悟を、俺はもう美舟から離れる覚悟を」
「・・・・・・・・・」
覚悟。
その二文字は私には重かった。
まだまだ子供みたいな恋心しか持っていない私とは次元が違うくらい、大人な恋愛の話を聞いている気分だ。
『かけおちをしよう』と雅暉さんに言いに来た美舟さんも、すごくすごく考えてその答えを出したのだと思う。
親に言われていたことを、一度は守ろうと思って帰って行ってしまったけど、やっぱり雅暉さんのことが忘れられなかった。
「一回終わっちゃうと、もう無理なんだよ。お互いに気持ちが切れちゃうから、絶対に完全な元通りにはなれないんだよ。もう振り返っちゃダメなんだ」


