「ケーキご馳走してくれたよ」


『良いな~』


 さっき聞いた話は、大和くんにする気が起きなかった。


 雅暉さんのことを近くで見てきて色んな話を聞いていた空さんのことが頭に浮かぶ。


 もう大和くんに雅暉さんの話はしたくない。


 普通にしているように見えてもきっと傷付いている。


『駅着いたら早歩きでね。もう暗いから危ない』


「わかったー!」


 大和くんはいつも私のことを心配してくれる。


 私は携帯を閉じてさっきの話を思い出していた。


 雅暉さんが私に初めて会った時に、一目惚れしそうになった。


 そう想像するだけでドキドキしてしまう。