ねえ、知ってる?【下】




 なんせ、一晩大和くんと一緒にいて、そのまま一緒にここへ来たのだ。


 夏休み中とは言え、平日の午前中なので人は少ない。


 席に着くと、やっと一息つけたような気がした。


 家にいても、大和くんがいるとやっぱり緊張してしまった。


 こうやって外に出てお店の中にいると、他にも人がいるので少しだけ緊張がほぐれた。


 とはいえ、前に座っている大和くんの顔はまだ見られない。


「俺は絶対フレンチトーストとブレンドコーヒー」


 言葉はいつもと変わらなくても、声色で大和くんのテンションが上がっているのがわかる。


 少し得意げな大和くんにほっこりした。


「私も同じのにする!」


 たとえ夏でも、ここのコーヒーはホットに限る。