よりみちまでは歩いて五分。
すぐに店が見えてきた。
大和くんは先に戸を開けてくれた。
その動作のどこにも不自然さはなく、レディーファーストをされたことにまた少しときめいてしまった。
「あら、苗ちゃんいらっしゃい! ・・・ってまあ! 前の子ね!! はいはい、こっち座ってね」
「あっ・・・えへへ。はい」
いつものようにおばちゃんが出迎えてくれた。
大和くんは前に一度来ただけなのに、これまで私が一度も誰かを連れてよりみちに行ったことがなかったので、変に印象づいてしまったようで大和くんのことを覚えられていた。
席に座るまでも、マスターであるおじさんも私と大和くんを見て微笑ましそうにしていた。
また勘違いされているな、と思ったけど、今回はあながちそうではない気もする。


