ねえ、知ってる?【下】




 ずっとずっと、俺の美舟だったのにもう美舟を愛すのはこれからは俺じゃない。


「三年間、本当にありがとう。元気でね、雅暉くん。・・・・・・・・・ありがとう!」


「俺も。ありがとう、美舟」


 始まるまでは、色々なことがあったのに、終わりは一瞬だ。


 きっと人間関係なんてそんなもので、何だって終わらせようと思ったらすぐに終わらせられる。


 いつだって失うことは簡単で、それを取り戻すことは難しい。


 29歳、最愛の人を失った。


 それでも俺は生きていくしかない。


 もう他の人は傷付けない。


 今でも美舟のことは忘れないし、苗ちゃんのことも可愛いと思う。


 でももう誰のことも傷付けない。


 まだ俺の気持ちがこんな風に曖昧なままでは何も始められない。