ねえ、知ってる?【下】




 終わるのは、始まったからだ。


 三年間、色々なことがあった。


 俺は初めて人を愛することを知った。


 それを教えてくれたのは、紛れもなく美舟で、美舟がいなかったら俺はどうなっていたかわからない。


 良い思い出しかない。


 だからこそ、もうそれを作ることが出来なくなるのがつらい。


 あの日、店の前にいた美舟に声をかけなければ、全ては始まらなかった。


 空港には来ないで、と言われたから行かなかった。


 俺も、ちゃんと送ってあげられる気がしなかった。


 美舟が部屋を出て行く直前、俺は美舟に最後のハグをした。


 美舟を小刻みに肩をふるわせていた。


 もうこの手を離すと、二度とこの体に触れることは出来ない。