ねえ、知ってる?【下】




 空の言っていることだって理解してる。


 でも俺はそんなに出来た人間じゃない。


 もう、疲れたんだ。


ーーー 


 美舟が実家に帰っていく日、俺は信じられないくらい泣いた。


 美舟が困っているのはわかった。


 それでもその涙を止めることは出来なかった。


「雅暉くん、もう行くね」


 そう言われても、俺は何も言い返せなかった。


『行かないでよ』


 そんなことを言ったって何も変わらない。


『好きだよ』


 そんな気持ちは関係ない。


 もう、無理なのだ。


 美舟もそれがわかっているから、何も言ってこなかった。


『ごめんね』


 とたくさん謝られた。


 そんな言葉が聞きたかったわけじゃない。


 ただ、俺のそばにいて欲しかっただけだ。