日に日に美舟に惹かれていく自分がいた。
美舟は本気で俺のことを思ってくれた初めての人だった。
確かに、当時ここに美舟の知人は俺以外にいなかった。
だから俺のことを好きになったのかもしれない。
でも、俺はこんなに誰かに尽くされたことがなかった。
俺も、美舟に尽くしたい、と思うようになった。
それからは女遊びを一切辞めた。
これまで、付き合っている人がいても気にせずに遊んでいたけど、もう生涯俺のことをこんなに思ってくれるのは美舟だけだと思ったし、俺も初めて本気で誰かを思おうと心に決めた。
一緒にいる時間が増え、美舟への気持ちが大きくなるにつれ、離れることが怖くなった。
美舟が家を出てもう三年が経っている。
三年間、実家から連絡が来たことは一度もなかった。
美舟は携帯も解約してこっちに出て来ていたし、誰にも行き先を告げていなかった。
三年間隠れて生きて来られたのだから、もう心配する必要はないのかもしれない。
でも美舟の25歳の誕生日を迎えるのが怖かった。
決められた人生なんて、俺が変えてあげたいと思っていた。
こんな日が来るのをずっと心のどこかでは覚悟出来ていたのかもしれない。
でもやっぱりいざそうなるとダメだった。
それを告げられてからは毎日がつらかった。


