和田先生を観察することが増えてわかった。
先生はとても人見知りだということだった。
どの生徒に話しかけられても、目を見て話さないしオドオドしている。
俺はそんな人見知りの先生と仲良くなりたいと思った。
仲良くなったきっかけは些細なことだった。
俺がたまたま廊下に出ると、トイレから出て来た先生がハンカチを落とした。
そのハンカチは、当時俺がハマっていた少年漫画のキャラが描いてあるグッズだったのだ。
拾って先生に渡し、その漫画について話してみると、いつもはなかなか話してくれない先生が、とても饒舌になった。
俺は先生の本当の笑顔を、その時初めて見た。
『少年漫画好きなんだ』と照れくさそうに話す先生に、惹かれた。


