「はい、大和くん!」


「・・・ありがとう。苗も、あげる」


 少し照れながら袋を渡す大和くんは、とても可愛かった。


 自分から言い出したのに、恥ずかしかったんだな・・・。


「わ~ありがとう。大事にするね!!」


 私は大和くんが買ってくれたオオサンショウオを、袋ごと抱き締めた。


 嬉しい。


 私の中での水族館の思い出も、大和くんで更新されたよ。


「そろそろ出るか~。どっかご飯食べてく?」


「あ・・・今日はお母さんが早く帰って来るから、一緒にご飯食べる予定なんだ。ごめんね」


「そっか。じゃあそろそろ帰ろう」


「うん・・・!」


『ねえ』


 そう呼び止めたいのに、どうしても勇気が出ない。